始めに
第六回に続いて、今回も3問の厳選問題について学んでいこう!
今回は『表現行列』に関する問題だ。慣れないと難しく感じてしまうが、『形式的な変形法』をしっかり覚えさえすればいろいろな問題に対応できるようになる!では、早速やっていこう!
問題.19
線形写像 \(f_A : \mathbb{R^{3}}\longrightarrow \mathbb{R^{2}}\) を$$f_A(\boldsymbol{x})=\begin{pmatrix}1&2&1\\-1&1&2\end{pmatrix}\boldsymbol{x}$$と定めるとき、\(\mathbb{R^{3}}\) の基底 、
$$\boldsymbol{u_1}=\left(\begin{array}{c}1\\0\\0\end{array}\right)、\boldsymbol{u_2}=\left(\begin{array}{c}1\\-1\\0\end{array}\right)、\boldsymbol{u_3}=\left(\begin{array}{c}1\\0\\1\end{array}\right)$$と、 \(\mathbb{R^{2}}\) の基底、
$$\boldsymbol{v_1}=\left(\begin{array}{c}1\\-1\end{array}\right)、\boldsymbol{v_2}=\left(\begin{array}{c}2\\1\end{array}\right)$$に関する \(f_A\) の表現行列を求めよ。
問題.20
任意の多項式 \(g(x) \in \mathbb{R}[x]_2\) をその導関数 \(\frac{d}{dx}g(x) \in \boldsymbol{R}[x]_2\) に対応させる線形変換を \(f : \boldsymbol{R}[x]_2 \longrightarrow \boldsymbol{R}[x]_2\) とおく。ただし、\(\boldsymbol{R}[x]_2\) は \(x\) を変数とする2次以下の実係数多項式全体を表す。
(1)\(\boldsymbol{R}[x]_2\) の基底 \( \{ 1\ ,x\ ,x^{2}\} \) に関する \(f\) の表現行列 \(A\) を求めよ。
(2)\(\boldsymbol{R}[x]_2\) の基底 \( \{\boldsymbol{u_i}\} \) ただし、$$\boldsymbol{u_1}=1+x、 \boldsymbol{u_2}=1、 \boldsymbol{u_3}=x+x^{2}$$について、基底の変換 \(\{1\ ,x\ ,x^{2}\} \longrightarrow \{\boldsymbol{u_i}\}\) の行列 \(P\) と、基底 \( \{\boldsymbol{u_i}\} \) に関する \(f\) の表現行列を求めよ。
問題.21
\(f : \mathbb{R^{3}}\longrightarrow \mathbb{R^{3}}\) は、
$$f(\boldsymbol{e}_1)=\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix}、f(\boldsymbol{e}_2)=\begin{pmatrix}0\\-1\\0\end{pmatrix}、f(\boldsymbol{e}_3)=\begin{pmatrix}-1\\0\\-1\end{pmatrix}$$
で定まる線形変換とする。ただし、\(\boldsymbol{e}_1=\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}、\boldsymbol{e}_2=\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}、\boldsymbol{e}_3=\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\) である。
(1) 基底 \(\boldsymbol{e}_1 , \boldsymbol{e}_2 , \boldsymbol{e}_3\) に関する \(f\) の表現行列 \(A\) を求めよ。
以下、この基底を簡単のため \(\{\boldsymbol{e}_i\}\) と書く。
(2) 次の基底 \(\{\boldsymbol{u}_i\}\) について、 基底の変換 \(\{\boldsymbol{e}_i\} \longrightarrow \{\boldsymbol{u}_i\}\) の行列 \(P\) と、
基底 \(\{\boldsymbol{u}_i\}\) に関する \(f\) の表現行列 \(B\) を求めよ。
$$\boldsymbol{u}_1=\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}、\boldsymbol{u}_2=\begin{pmatrix}-1\\0\\-1\end{pmatrix}、\boldsymbol{u}_3=\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}$$
終わりに
今回は、表現行列を求める際の『形式的な変形法』というものをマスターするのが目標である。
解答に詳しく説明したので、ここはぜひ、紙に書きながら習得してほしい!
上述の変形法さえマスターすれば、どのような『表現行列に関する問題』にも対応できるようになるだろう。私がそうであるのだから。
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