はじめに
大学数学で初めに学ぶ『線形代数学』は数学、物理、化学などの理学においては言うまでもなく、工学、情報科学、医学、経済学など多くの分野で利用される最重要分野の一つである。
本記事は大学の授業や、独学によって一通り線形代数学について勉強した人向けに書いている。あまり抽象的になりすぎることは避けて、良問を解きながら、重要なエッセンスを学んでいくというスタイルをとっている。
この記事で一番伝えたいことは、問題を解く上での『タメになる計算テクニック』である。
数学は、まず問題が解けるようにならないと面白さを感じないものである。理論的な内容ばかりを悶々と勉強していても疲れるだけで効果は思ったほどでない。問題を解きながら、必要となれば理論に戻るというスタイルの方が自然だと思う。すべての問題をやり切ったときには確実にスキルアップしているだろう。
では早速始めていこう!
問題.1
3次行列 \(A=(a_{ij})\) の \((i , j)\) 成分が、$$a_{ij}=(-1)^{i+j}ij\delta_{4-i , j}$$で与えられるとき、\(A\) を求めよ。
ただし、\(\delta_{i , j}\) はクロネッカーのデルタである。すなわち、\(\delta_{i , j}=\begin{cases}1 (i=j)\\0 (i \ne j)\end{cases}\)
問題.2
n次行列に対する次の主張のうち、正しくないものを全て選び、反例を一つ上げよ。
(\(E\) は単位行列である。)
(1)\((A+B)=A^{2}+2AB+B^{2}\)
(2)\(A^{2}=A\) ならば、\(A=O or A=E\)
(3)\(A、B\) がともに対称行列ならば、\(AB\) も対称行列である。
問題.3
2次行列:\(A=\begin{pmatrix}-2&-2\\2&0\\ \end{pmatrix}\) について、\(T=\begin{pmatrix}A&A\\0&-A\\ \end{pmatrix}\) とおく。このとき、$$T^{n}=aE (a は定数)$$となる最小の \(n \in \mathbb{N}\) を求めよ。
おわりに
さて、いかがだっただろうか?
解答をぜひ読んでほしい。そこに問題を解くうえで必要なものすべてをまとめておいた。
コツコツと無理なく頑張ろう! ではまた。
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