総まとめ問題演習1


やあ、こんにちは。今回と次回は微分についての総まとめ問題演習を実施する。これまで長い道のりであったが、ここまでしっかり理解してきたならば、もはや問題として扱われるほぼすべての関数を微分できるようになっているのだ!

はい!よろしくお願いします。しっかり復習してきましたので楽しみです!

ふふ、いい心がけだ!ではさっそく問題を紹介するぞ。次の問題たちだ!
問題:次の関数を微分せよ
(1) \(f(x)=\sqrt{x}\)
$$f(x)=\sqrt{x}$$
(2) \(f(x)=x^{-n}\ \ (nは正の整数)\)
$$f(x)=x^{-n}\ \ (nは正の整数)$$
(3) \(f(x)=x^{\frac{m}{n}}\ \ (n \in \mathbb{N}\ ,\ m \in \mathbb{Z})\)
$$f(x)=x^{\frac{m}{n}}\ \ (n \in \mathbb{N}\ ,\ m \in \mathbb{Z})$$
(4) \(f(x)=x^{\alpha}\ \ (\alpha \in \mathbb{R})\)
$$f(x)=x^{\alpha}\ \ (\alpha \in \mathbb{R})$$

なんか簡単そうだぞ!

うむ、これまで学んだ方法を駆使すればできるぞ。鍵となるのは『合成関数の微分法』である。最初は時間がかかってもいいから、とにかく自力で解ききることが大切だ。

はい、がんばります!

解答
(1) \(f(x)=\sqrt{x}\) の微分

第6回ですべての自然数 \(n\) に対して \((x^{n})’=nx^{n-1}\) が成り立つことを示しました。\(\sqrt{x}=x^{\frac{1}{2}}\) なので、この公式がもし使えれば、
$$(\sqrt{x})’=(x^{\frac{1}{2}})’=\frac{1}{2} x^{\frac{1}{2} -1}=\frac{1}{2} x^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{2\sqrt{x}}$$

となるはずですが・・・証明もせずに使うわけにはいきませんよね?ありゃりゃ、いきなり詰まっちゃったぞ!あれだけ復習してきたのに悔しいっす!

そうだろう?しかし、第6回で証明した
『すべての自然数 \(n\) に対して \((x^{n})’=nx^{n-1}\)』を連想するのは、勉強してきた何よりの証拠だぞ!実は(1)はヒントを上げようと思っていたのだ。ヒントは、両辺を2乗して合成関数の微分だ!

両辺を2乗・・・ですか。
とりあえずやってみます!
ありがとうございます!
両辺を2乗して、\(f(x)^{2}=x\) 、\(g(u)=u^{2}\ ,\ u=f(x)=\sqrt{x}\) と置くと、左辺は
$$g(f(x))=f(x)^{2}$$
という合成関数となるから、両辺を \(x\) で微分すると、合成関数の微分公式により、
$$g'(u)\cdot f'(x)=1\ \Leftrightarrow\ (u^{2})’ \cdot f'(x)=1\ \Leftrightarrow\ 2u\cdot f'(x)=1$$
ここで、\(f'(x)\) について解いて、
$$f'(x)=\frac{1}{2u}\ \Leftrightarrow\ f'(x)=\frac{1}{2\sqrt{x}}\ \Leftrightarrow\ f'(x)=\frac{1}{2}x^{-\frac{1}{2}}$$

出来ました!結果的に第6回で証明した『すべての自然数 \(n\) に対して \((x^{n})’=nx^{n-1}\)』が成り立ちました!

そういうことだ!この
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
という公式はまだまだ一般化されるのだ!
自然数から整数へ、整数から有理数へ、そして有理数から実数へと一般化されるのだ。その流れが問題(1)~(3)となっている。(1)を参考にして(2)、(3)はぜひ自分でやってほしい。

はい!今度は自分の力のみで頑張ります!
(2) \(f(x)=x^{-n}\ \ (nは正の整数)\) の微分

公式
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
が成り立つとすると、結果は
$$(x^{-n})’=-nx^{-n-1}$$
となることが予想されますね。
$$f(x)=x^{-n}=\frac{1}{x^{n}}$$
と書けるので、これは既に学んだ『商の微分公式』を適用すればできる。(第6回)
$$(\frac{1}{x^{n}})’=\frac{0-nx^{n-1}}{x^{2n}}=-nx^{-n-1}$$
これは、予想が正しいことを意味する。

これで、\(n\) が整数のときも、公式
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
が成り立つことが分かりました。
(3) \(f(x)=x^{\frac{m}{n}}\ \ (n \in \mathbb{N}\ ,\ m \in \mathbb{Z})\) の微分

今度は指数が有理数の場合ですね!(1)にならって、両辺を \(n\) 乗して合成関数の微分を実行します。
両辺を \(n\) 乗して、
$$f(x)^{n}=x^{m}$$
両辺 \(x\) で微分すると、左辺は合成関数の微分公式により、右辺は(2)の結果より、
$$nf(x)^{n-1} \cdot f'(x)=mx^{m-1}$$
となる。\(f'(x)\) について解くと、
$$f'(x)=\frac{mx^{m-1}}{nf(x)^{n-1}}=\frac{mx^{m-1}}{n(x^{\frac{m}{n}})^{n-1}}=\frac{mx^{m-1}}{nx^{m-\frac{m}{n}}}=\frac{m}{n} x^{\frac{m}{n} -1}$$

これで、\(n\) が有理数のときも、公式
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
が成り立つことが分かりました。不思議ですねー!

順調だな!さあ、いよいよ指数が実数の場合だ。
(4) \(f(x)=x^{\alpha}\ \ (\alpha \in \mathbb{R})\) の微分

今度は両辺を何乗かして整数や有理数の場合に帰着するのは難しそうですよね?
例えば \(x^{\sqrt{2}}\) の場合に対してはもうこれまでの方法は使えないです。

鋭いな、流石だ!ヒントは両辺の自然対数を取ることだ!
どうだ?いけそうかな?

とりあえずやってみます。ありがとうございます!
両辺の自然対数を取って、
$$\log f(x)=\log x^{\alpha}=\alpha \log x$$
両辺 \(x\) で微分すると、左辺は合成関数の微分公式により、右辺は対数関数の微分(第12回)より、\(u=f(x)=x^{\alpha}\) とおいて、
$$(\log u)’\cdot f'(x)=\alpha\cdot \frac{1}{x}$$
$$\Longleftrightarrow \frac{1}{u}\cdot f'(x)=\frac{\alpha}{x}$$
\(f'(x)\) について解いて、
$$f'(x)=u \cdot \frac{\alpha}{x}=x^{\alpha} \cdot \frac{\alpha}{x}=\alpha x^{\alpha-1}$$

これで、\(n\) が実数のときも、公式
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
が成り立つことが分かりました!
それぞれの場合に対して使う方法が異なっているのに、結果は同じ公式になるっていう・・・こういうところが数学の不思議なところですよね!

うむ、そうだな!とにもかくにも公式
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
は \(n\) が実数のときにも使えることが今示されたのだ。よって、
$$(x^{\sqrt{2}})’=\sqrt{2}x^{\sqrt{2}-1}$$
$$(x^{\pi})’=\pi x^{\pi-1}$$
などとなるわけだ。

はい!そういうことになりますね!

さあ、今回はこれで終わりにしよう!次回は見た目がもっとすごい関数たちを微分することになるだろう。しっかり復習をしてきてくれたまえ。では今日もお疲れさん。

はい!ありがとうございました!

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