『積の微分公式』から得られる公式たち
\(x^{n}\) の微分公式
やあ、こんにちは。今回は『積の微分公式』を用いていくつかの公式を得ようと思う。
はい、よろしくお願いします!
まずは、一つ目として
$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$
を示してみよう。ここで、\(n\) は任意の自然数だ。
以前、練習問題で \(x’=1\ ,\ (x^{2})’=2x\ ,\ (x^{3})’=3x^{2}\) などを計算しました。その一般化ですね!
そういうことだ。これを『積の公式』を用いて示すのだ。
ヒントは帰納法を使うぞ。
ふむふむ、帰納法ですね。帰納法は型が決まっているので得意です!
いつも通り詰まってしまいました・・・
まだ積の微分公式を使ってないな。何とかして使ってみよう!
さて、どうする?ここが腕の見せ所だぞ!
うーん、だってそもそも二つの関数の積の形になってないし・・・いや待てよ、積の形にできるかも!
完璧すぎてほれぼれすっぞ!
ありがとうございます。ヒントのおかげです!
その調子で次の公式もいってみよう!
商の微分公式
次の公式は『商の微分公式』という商の形の関数を微分するときに使われる公式だ。つまり
$$\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}^{\prime}=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^{2}}$$
である。
商は『割り算の結果』を表すのでしたよね。この公式は複雑で難しそうですね。
これも『積の微分公式』をつかうために、
$$\frac{f(x)}{g(x)}=f(x)\cdot\frac{1}{g(x)}$$
のように二つの関数の積だと考えるんだ。
なるほど、割り算は掛け算で表されますからね!
すると、積の微分公式から・・
あれ、目標の式である
$$\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^{2}}$$
にならないや。なんでだろう?
2行目から3行目の計算で
$$\left\{\frac{1}{g(x)}\right\}^{\prime}=\frac{1}{g'(x)}$$
とやってしまっているだろう?ここが間違いなんだ。これを正しく計算するためにはしっかり定義からもとめる必要があるのだ。ここが『商の微分公式』の証明の核となる部分だ。
微分の定義式はすべての公式の生みの親だと言ってましたよね!
いつものように
$$F(x)=\frac{1}{g(x)}$$
とおいて始めてみます。
うーん、やっぱり難しいぞ。ここからどう進めるのかな?
できることをやってみるといい。
分数は通分して、なんとか定義式の形を作っていくのだ。つまり、分子の分数を通分すると
$$\frac{1}{g(x+h)}-\frac{1}{g(x)}=\frac{g(x)-g(x+h)}{g(x+h)g(x)}$$
となるな。後は自分でやってみてくれ!
はい!続きは・・
うーむ、何が何やら・・・とりあえずここまで合ってますか?
もう少しヒントをください!
うむ、しっかり合っているぞ!ここから先の計算は前回伝えた、関数の積に対する \(\lim_{h \to 0}\) の分配を考えてみてくれ。そのために分数を
$$\frac{g(x)-g(x+h)}{hg(x+h)g(x)}=\frac{g(x)-g(x+h)}{h}\cdot\frac{1}{g(x+h)g(x)}$$
と積の形にするのだ。後は自分でやってみてくれ。
ああ、そうか。\(\lim_{h \to 0}\) は分配できるのでしたね。
そうすると・・・ こうかな・・
なんかできたっぽいです!
よく頑張ったな!正解だ!
これと先ほどの積の微分公式を合わせると商の微分公式が得られるぞ!
さあ、仕上げをやってみてくれ。
はい、もう一度最初からやってみます!
目標となる式が出てきました!
完璧だ!これで、『商の微分公式』も得られたわけだ。
今回は『積の微分公式』を用いて二つの公式を得た。
かなり大変だったがよく頑張ったな!
次回は少し問題演習をしていこう!
今日はここまでだ、お疲れさん。
証明ばかりで大変ですが、その分達成感が大きいです。
今日もありがとうございました!
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