先生、教えて❕ ~微分積分編~ (第七回)

微分積分編

これまでの小まとめ

マサト先生
マサト先生

やあ、こんにちは!

今回はこれまでに証明してきた微分公式などを用いて問題練習をしていこう。

ヒロト
ヒロト

はい、このところ証明ばかりだったのでそろそろ練習したいと思っていました。

マサト先生
マサト先生

問題練習に入る前に、これまでに証明してきた内容をまとめてみよう!

ヒロト
ヒロト

はい、以下に学んだ順に書き並べてみます。

ヒロトノート

1. \(f(x)\) の導関数 \(f'(x)\) を求めることを \(f(x)\) を微分すると言い、その定義式は

$$f^{\prime}(x)=\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$$

                                 (復習は第3回

2.微分計算について次の①、②が成り立つ。これらを満たす性質を『線形性』という。

$$\{f(x)+g(x)\}^{\prime}=f^{\prime}(x)+g^{\prime}(x)\ \cdots\ ①$$

$$\{af(x)\}^{\prime}=af^{\prime}(x)\ \ (a は定数)\ \cdots\ ②$$

                                 (復習は第4回

3.積の微分公式:

$$\{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$$

                                 (復習は第5回

4.\(x^{n}\) の微分公式:

$$(x^{n})’=nx^{n-1}$$

                                 (復習は第6回

5.商の微分公式:

$$\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}^{\prime}=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^{2}}$$

                                 (復習は第6回


マサト先生
マサト先生

うむ、完璧だ!とりあえずこれだけ武器がそろえば多項式で構成された関数はすべて微分できるようになったぞ!ここで多項式関数とは \(n\) を \(0\) 以上の整数として、

$$f(x)=a_nx^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0$$

という形をした関数のことだ。また、『構成された』というのは四則で作られたという意味だ。

ヒロト
ヒロト

なるほど!

マサト先生
マサト先生

ここで多項式の四則、つまり和、差、積、商について少し考えてみよう。

多項式の和、差、積はまた多項式になることはいいな?

でも多項式の商だけが多項式でなくなる可能性が出てくる。よろしいか?

ヒロト
ヒロト

はい、確かに多項式の和、差、積はまた多項式になります。

そして、多項式の商については分子が分母で割り切れない場合、多項式ではなくなりますね!

マサト先生
マサト先生

その通りだ。例えば、

\(f(x)=x^{3}-1\ ,\ g(x)=x-1\) の場合、これらの和、差、積は当然ある多項式になる。

商については

$$\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{(x-1)(x^{2}+x+1)}{x-1}=x^{2}+x+1$$

となって多項式となるが、分母分子を逆にすると

$$\frac{g(x)}{f(x)}=\frac{x-1}{(x-1)(x^{2}+x+1)}=\frac{1}{x^{2}+x+1}$$

となって多項式ではなくなる。後者を見たまんま『分数関数』というのだ。

ヒロト
ヒロト

つまり多項式の場合、『商』だけが多項式の世界からはみ出すことがあるということですね?

マサト先生
マサト先生

うむ、したがって実際問題として普通の『多項式関数』と、『多項式の分数関数』を微分できるようになれば、『多項式で構成された関数』はすべて微分できると言えるようになるわけだ。

ヒロト
ヒロト

なるほど、今回は多項式関連の微分を極めるということですね!

でも、関数はもちろん多項式の四則で構成されるものだけではないですよね?

マサト先生
マサト先生

うむ、鋭いな。多項式関数は関数の世界ではとても基本的な部類に属するのだ。もっと重要な関数はまだまだたくさんある。それらの微分については今後見ていくことにしよう!何事も一歩一歩着実に進んでいくことがたいせつなのだ。


練習問題(多項式関連)

マサト先生
マサト先生

今回の問題はつぎの6問だ。これまでに学んだことをつなぎ合わせて解いてくれ。

問題

次の関数を微分せよ。

(1) \(f(x)=x^{3}-1\)


(2) (1) の関数を \(f(x)=(x-1)(x^{2}+x+1)\) と分解する。
  これを積の微分公式を用いて微分し、(1) の結果に一致することを確認せよ。


(3) $$g(x)=\frac{1}{2x^{2}}$$


(4) $$h(x)=\frac{x^{3}-1}{2x^{2}}$$


(5) (4) の \(h(x)\) は \(h(x)=f(x)g(x)\) となっている。
  これを積の微分公式を用いて微分し、(4) の結果に一致することを確認せよ。


(6) $$F(x)=\frac{(x^{3}-1)^{2}}{2x^{2}}$$
   (※Hint : \(F(x)=f(x)h(x)\) となっていることに注意)




解答

(1) $$f'(x)=(x^{3})’-1’=3x^{2}$$

(2) $$f'(x)=(x-1)'(x^{2}+x+1)+(x-1)(x^{2}+x+1)’$$
$$=1\cdot(x^{2}+x+1)+(x-1)(2x+1)$$
$$=x^{2}+x+1+2x^{2}+x-2x-1=3x^{2}\ \cdots\ (1)に一致$$

(3) $$g'(x)=\left(\frac{1}{2x^{2}}\right)’=\frac{1’\cdot2x^{2}-1\cdot(2x^{2})’}{(2x^{2})^{2}}=\frac{0-4x}{4x^{4}}=-\frac{1}{x^{3}}$$

(4) $$h'(x)=\left(\frac{x^{3}-1}{2x^{2}}\right)’=\frac{(x^{3}-1)'(2x^{2})-(x^{3}-1)(2x^{2})’}{(2x^{2})^{2}}$$
$$=\frac{3x^{2}\cdot2x^{2}-(x^{3}-1)\cdot4x}{4x^{4}}=\frac{6x^{4}-4x^{4}+4x}{4x^{4}}=\frac{2x^{4}+4x}{4x^{4}}=\frac{x^{3}+2}{2x^{3}}$$

(5) $$h'(x)=(f(x)g(x))’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$$
$$=3x^{2}\cdot\frac{1}{2x^{2}}+(x^{3}-1)\left(-\frac{1}{x^{3}}\right)$$
$$=\frac{3}{2}-1+\frac{1}{x^{3}}=\frac{1}{2}+\frac{1}{x^{3}}=\frac{x^{3}+2}{2x^{3}}$$

(6) $$F'(x)=(f(x)h(x))’=f'(x)h(x)+f(x)h'(x)$$
$$=3x^{2}\cdot\frac{x^{3}-1}{2x^{2}}+(x^{3}-1)\cdot\frac{x^{3}+2}{2x^{3}}$$
$$=\frac{3}{2}(x^{3}-1)+\frac{1}{2}(x^{3}+2)-\frac{x^{3}+2}{2x^{3}}$$
$$=\frac{3}{2}x^{3}-\frac{3}{2}+\frac{1}{2}x^{3}+1-\frac{1}{2}-\frac{1}{x^{3}}$$
$$=2x^{3}-\frac{1}{x^{3}}-1$$
$$

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)










ヒロト
ヒロト

 多項式関連の微分は何とかできるようになったと思います!

マサト先生
マサト先生

それは良かった。

次回は多項式関数以外の代表的な関数の微分についてやるつもりだ。

では今日はここまでにしよう。お疲れさん。

ヒロト
ヒロト

はい、ありがとうございました!


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